
大阪市北区のJR天満駅前のカラオケパブ「ごまちゃん」で昨年6月、経営者の稲田真優子さん(当時25)が刺殺された事件。殺人容疑で逮捕された宮本浩志被告(57)の大阪地裁での裁判員裁判の初公判が、9月16日に開かれた。終始沈黙していた宮本被告は一転、「独演会」のように話し始めた。
証言台の前で黙秘していた宮本被告。裁判官から名前や生年月日を問いかけられても応じない。
被害者遺族から「こら、なんか言え」と怒声が響く。
ようやく口を開いた宮本被告は「えーっと、裁判員にお願いします。死刑判決にしてください」。
裁判は大きな波乱とともに、始まった。
起訴状などによると、宮本被告は昨年6月11日午後9時半~10時ごろ、北区天神橋4丁目のカラオケパブ店内で、稲田さんの首や胸を刃物で刺したり切りつけたりして殺害したとされる。
法廷で宮本被告は、裁判長から「殺人罪」を認めるかについて聴かれても黙秘。名前を尋ねられても、
「意味はない」
「いかなる質問にも答える気がない」
と挑戦的な発言を続けた。そして、宮本被告の弁護士は、
「犯人性を争う」
との姿勢を見せた。
検察側は冒頭陳述で、宮本被告の詳細な犯行状況について述べた。
宮本被告は事前に粘着テープ、刃物を購入するなど準備をし、犯行日には一度、店から出て帰宅するふりをし、稲田さんが1人になるのを見計らっていた。
犯行後に、
「アルミホイルで稲田さんの携帯電話をつつみ、電波を遮断して発覚を遅らせようとした」
と指摘。そして、防犯カメラの配線を切断し、映像を記録していたSDカードも宮本被告が持ち去っていたという。
そして、殺害した稲田さんに、
「お好みやきを作りました」
などと写真と共にLINEでメッセージを送信。犯行翌日には、わざわざ店を訪れ、閉まっていることを確認して、
「こんにちわ、大丈夫?」
などとLINEでメッセージを送り、偽装工作を図っていた。