就職先として安定した人気の技術系業界。女子学生の増加や、デザイン系人材のニーズから自動車分野に美術系の大学が食い込むなど、転換期にある。ランキング上位の大学に共通するのは、企業と連携した実践的な学び。発売中のAERAムック『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から紹介する。
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自動車業界のトップは、トヨタ自動車が設立した豊田工業大学。自動車に強いのは当然と思うかもしれないが、実は「機械・機器」「電気機器・電子」でもトップにつけている。自動車をはじめ、技術系の業種に強いのはなぜか。
「今は、自動車イコール機械の時代ではありません。自動運転や電気自動車への移行に伴って、AIや物質系の人材が求められるようになった。
本学は2年次前期まで機械システム、電子情報、物質工学の3分野を学んで、2年次後期から専門分野に分かれるため、先端工学における幅広い知識を修得できるのです」(学生部長 齋藤和也教授)
1年次には数学、物理、化学の講義が多く設定されており、土台となる基礎をしっかりと学ぶ。さらに実習では、最先端の設備を備えた「創造性開発工房」でものづくりの基礎を学ぶ。学生の指導は企業から派遣された技術指導員が行っている。
「昔は機械があれば分解して楽しんでいましたが、現代の機械はブラックボックス化し、いじることができません。まずは学生にモノを作る楽しさを味わってほしい」
■自動車は100年に一度の大転換期
1年次には企業の製造現場で、3年次には開発部署でインターンシップを行う。学生のモチベーションを支えているのが、1年次の寮生活だ。
「寮には社会人学生もいます。勉強をしたくて、大学へ再入学した彼らの努力を目の当たりにして、学生たちは大いに刺激を受けています」
自動車業界は100年に一度の大転換期だという。
「大企業に就職すれば安泰という時代は終わりました。これからは就職しても勉強して常に新しい物を創出していかなければなりません。一生学び続ける気概を持った学生を育てていきたいと思います」