薬物療法のなかで最も治療効果が高いのが、GnRHアナログ製剤だ。点鼻・注射薬のGnRHアゴニストと経口薬のGnRHアンタゴニストがある。排卵と月経を止め、閉経と同じような状態になるため、偽閉経療法と呼ばれる。
ただし、更年期障害のような症状や骨密度を下げる副作用があり、投与期間の上限は6カ月だ。再投与の場合には6カ月の休薬が必要なため長期間治療を維持する場合には、低用量ピルなど他の薬と併用する場合もある。
■将来の希望をふまえ最良の薬物療法を
薬物療法で難しいのは妊娠を希望する場合だ。
「不妊治療と薬物療法をどのようなタイミング、順番でおこなうかを慎重に検討する必要があります」(甲賀医師)
薬物療法は妊娠のための排卵や卵子が着床する子宮内膜の増殖を止める治療であるためだ。
「たとえば体外受精の準備のためであれば、薬物療法をいったん休み、卵子が取れて凍結保存ができたら、またすぐに薬物療法を再開します。現在妊娠を望むのか、将来妊娠を望むのかなど患者さんのライフプランに応じて、治療の組み合わせを考える必要があります。そのために患者さんは今現在だけでなく、将来までの希望をきちんと主治医に伝え、最良の治療を選ぶことが大切です」(同)
(文・伊波達也)
※週刊朝日2022年10月7日号より