富永雄輔氏(撮影/加藤夏子)
富永雄輔氏(撮影/加藤夏子)

 有名選手の代理人といえば、所属選手をビッククラブに移籍させて多額のマージンを手に入れる派手な仕事というイメージもあるが、現実はもっと地味だという。

「契約選手が日々の試合に出場し、活躍できなければ移籍話などまとまりません。試合があるたびに胃が痛くなるし、心が休まる暇なんてありません。移籍や新規契約というのは、数年に1回の“お祭り”なんです。大切なのは、日々の試合の積み重ねです。僕たちはそのために選手たちの話を聞き、心身ともにメンテナンスするのが仕事。四六時中、電話したり、相談聞いたりする日陰の仕事ですよ(笑)」

 才能を伸ばす仕事、人を支える仕事という点では塾経営と代理人業は共通すると語る富永氏。だが、両者にはほかにも「共通点」がある。

受験生とプロ選手の共通点は、日々積み重ねていく『土台』の大切さです。一流選手は絶対に基礎、基本をおろそかにしない。合格できる受験生も同じ。この『土台』の下地をつくるには、一定期間は集中的に訓練する時間が必要です。そこに時間をかけたくない、無理をしたくないという受験生のご家庭もあるのですが、大成するには盤石な『土台』は絶対に必要です」

 さらに、富永氏がパラレルキャリアを持っていることは、受験生たちが“未来”を考えるきっかけにもなるという。

「12歳で中学受験が終わったら二度と生徒と関わらない講師もいますが、私たちは違います。VAMOSは中学受験後も“戻ってこられる場所”でありたい。だからこそ、高校、大学受験の機能も残しているのです。親御さんには30歳でお子さんがどうなっているか見てほしい、と言っています。成長するにつれて学業だけでなく、将来への不安、進路に悩むことも出てくるでしょう。そのとき、私のような“本業がわからない人間”が身近にいることで、『将来の選択肢は一つでないこと』『いろいろな生き方があっていいこと』を学ぶこともできるのではと思っています。まあ、私のような人生を選ぶ生徒はいないですけどね(笑)」

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これからは「学歴」に「α」をかける時代