進学塾「VAMOS」代表の富永雄輔氏(撮影/加藤夏子)
進学塾「VAMOS」代表の富永雄輔氏(撮影/加藤夏子)
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都内に4校を展開する進学塾「VAMOS」は、入塾テストがないにもかかわらず、毎年、多くの難関校に生徒が合格すると評判の塾だ。同塾の代表・富永雄輔氏は中学受験に関する著書も多くキャリア豊富な塾講師だが、もうひとつの“顔”がある。吉田麻也、田中碧、板倉滉などサッカー日本代表選手たちの代理人でもあるのだ。進学塾の代表が、なぜサッカー選手の代理人を“兼任”しているのか。一見無関係に見える2つの仕事は「実は似ているところがある」と富永氏は言う。パラレルキャリアの背景と過熱する中学受験の実態について話を聞いた。

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「よくどっちが本業なんですか、と聞かれますが『どっちも副業です』と答えています(笑)」

 いかつい風貌に鋭い眼光、がっちりとした体躯。一見すると進学塾の経営者には見えないが、その語り口は柔らかく、ユーモアを交えながらも論理的。その雰囲気からは、多くの生徒たちを合格に導いてきたキレ者の塾講師の片鱗がうかがえる。

 富永氏が進学塾「VAMOS」を創業したのは約15年前。今は高校、大学受験までカバーするが、最初は中学受験塾としてスタートした。場所は東京・吉祥寺。近隣住民の教育熱は高く、今も昔も、中学受験の「最激戦区」のひとつだ。

「起業するとき、最初は一番厳しいところで勝負しようと思っていました。今もそうですが、当時から中学受験はオートメーション化が急速に進み、大手塾が用意したカリキュラムや宿題量についていける家庭だけが合格できるシステムになっていました。その“ベルトコンベヤー”に乗れないと脱落してしまう。VAMOSはシステムに乗れない家庭や、忙しくて時間がない共働き家庭にフォーカスして少人数制にこだわりました。大手が巨大資本の回転寿司なら、ウチは“回らない寿司屋”を目指そうと思ったんです」

 中学受験に参入する共働き家庭の増加もあり、富永氏の“戦略”は奏功する。「入塾テストなし」「少人数制」という条件にもかかわらず、いわゆる“御三家”をはじめ難関校に合格できる塾として評判となった。その評価が口コミで広がるにつれて生徒数と合格実績も増えていき、教室も四谷(新宿区)、浜田山(杉並区)と拡大。今年6月には新たに御茶ノ水(千代田区)にも開校した。

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塾も代理人も「結果」を他人に預ける仕事