投資信託は5000種類以上
現在、日米の金利差が開き、大きく円安に振れているが、為替レートが振り戻した際にドル資産を保有しておけば円安への備えとなる。
そこでファイナンシャルプランナーの辻理恵さんに初心者でも扱いやすいドル建て資産について教えてもらった。お勧めは、
1. 投資信託
2. 外貨預金
3. ドル建て保険
の三つだ。
まずは投資信託。米国の株式や債券を初心者が購入するのはハードルが高いが、これらがプロの手によってパッケージ化された投資信託であれば購入しやすいという。
株式や債券だけでなく、個人では売買できない「NYダウ」「S&P500」などの米株式指数を、少額から購入できるのも魅力という。
「投資信託は証券会社で購入します。そのためには、まず口座を開設します。店頭窓口でもいいですし、ネット証券であれば人を介さずに開設できます。手続きには本人確認用の運転免許証などと、マイナンバーが必要です」
投資信託は外貨預金と比べて長期保有することで資産を増やしやすいのが大きなメリットだ。では、どんな商品がお勧めなのか?
「実は、日本で販売されている投資信託は5000種類以上あります。投資信託はさまざまな食材を詰めた『幕の内弁当』に例えられます。つまり、食材の組み合わせによって非常に多くの種類があるわけです」
「これほどの数のなかからどうやって選べばいいのか、呆然としますね」と、少々脱力感を覚えながら筆者が言うと、辻さんはあるファンド検索サイトの「投資対象地域」というカテゴリーの中から「北米」をクリックした。すると、投資信託の数が「788」に絞られた。
「例えばこのような方法でドル建ての投資信託を抽出できます。最終的には目論見書などで通貨構成比がドル100%になっているかをチェックします」
大切なのはゴール設定
投資信託の数は2割以下に絞られたわけだが、画面に並ぶ投資信託の名称を見てもさっぱり中身のイメージが湧かない。
「確かに『ハイ・イールド・ファンド』という名称を見ても、それがいったいどんな投資信託なのか、初心者にはわからないですよね」と、辻さんは言い、こう続けた。
「日ごろお客様から『どの商品がいいんですか?』『どれが儲かるんですか?』と、相談されることが多いのですが、実は『商品選び』から入ると、かえって商品を選びづらくなってしまうんです。そもそも、なぜ投資信託を購入したいのか、どれくらい資金が増えれば十分なのか、きちんとゴールを設定して、それに向けて商品を選ぶのが正しいやり方です」
なるほど、冒頭の夫婦もそうだった。米国債を購入する目的や目標金額、その資金を使う時期をはっきりと決めていた。
「ゴールを設定すると、何年保有して、その間に何%の利回りがあればいいのかを計算できます」