ヤクルトを取材するスポーツ紙記者は、勝負のカギを握る選手について「山田です」と即答する。
今季は打率.243、23本塁打、65打点。好調な時期が長続きせず、打率はレギュラーに定着した13年以降で自己ワースト。主将は打撃不振の責任を強く感じていたのだろう。リーグ連覇を飾った際は村上と抱擁し、涙を流していた姿が印象的だった。
今季の交流戦は絶不調で打率.153、5本塁打、7打点。オリックス戦は3試合で10打数1安打8三振と抑え込まれた。前人未到のトリプルスリーを3度獲得したスーパースターも絶対的な選手ではなくなっている。日本シリーズでも快音が聞かれないようだと、スタメンから外れる可能性もある。
それでも、前出のスポーツ紙記者は期待を込める。
「苦しんできた姿をナインも見てきたので、山田が打つとチームが盛り上がるんですよ。実際に本塁打を打った今季は勝率も高い。村上の前で3番の山田が塁に出れば、得点が入る可能性が高くなる。間違いなくキーマンになるでしょう」
昨年の日本シリーズはオリックスが第1戦で先勝したが、第2戦でヤクルト・高橋奎二がプロ初完封勝利の快投を飾ったことで、流れが大きく変わった。今年の決戦も、一投一打に目が離せない熱戦が繰り広げられそうだ。(梅宮昌宗)