約3年間、毎週YouTubeにまつわるコラムを書かせていただきましたが、今回で最後になります。最後のコラムのテーマをどうするか決めかねておりましたが、YouTuberという職業そのものについて書きたいと思います。
YouTuberは、YouTubeとともに発生した新しい職業です。個人が動画を制作し、広告費やグッズを販売して生計を立てる。いわば個人版のテレビ局のような仕事です。かつて、こんな仕事が発生するとは誰も予想しなかったと思います。当初は、「虚業で今だけしか稼げない」など、ばかにされることも多い職業でした。現在では、かつてよりも市場が拡大し、YouTuberも市民権を得た職業になっています。YouTubeをはじめとするSNSのプラットフォームが一般化し、個人が情報を発信する時代になったことと、スマートフォンが普及したことで、時代に合った職業と認識されるようになったためです。
テレビで活躍していた芸能人や有名人、企業や経営者も参入し、YouTubeの市場は大きく拡大しました。YouTuberに憧れる子供も増えました。素人でも、お金やコネがなくても、有名人になりお金を稼ぐことができる、夢のような職業に思えます。実際、年齢や経歴や実績など関係なく成功するチャンスがあるという意味では、YouTuberやインフルエンサーほど平等な職業はないと思います。
しかしながら、華やかで楽しい仕事に思えるYouTuberの実情は激しい競争の渦中にあり、どのYouTuberも努力をしなければ人気をキープできない状態です。競争は苛烈であり、コンテンツの進化も絶え間なく続きます。ヒットを出しても、ヒットした理由がわからなければ数年でオワコンになります。視聴者のニーズを正しく把握し、競合の分析や流行のリサーチをし、自分のコンテンツの課題を探し改善し続ける作業の連続です。面倒な人間関係はありませんが、どこまでも孤独です。「人気者になりたい」「有名になりたい」「楽して稼ぎたい」という人には向いておらず、コツコツ積み上げるような作業をすることが得意で、なんらかの分野にオタクのようにのめり込める人が適性です。精神的にも体力的にもタフでないと、途中で挫けてしまうことも多いです。そして最も勘違いされやすいことですが、YouTuberとして成功する人は、YouTubeが単純に好きな人ではなく、YouTuberに求められる地道な作業に向いている人です。忍耐強く、ひとつつのことを続けたり、仮説を立てて実験して分析し、自分のコンテンツに落とし込める人や、新しいものを作り出せる人です。