一時、「1ドル=150円台」をつけた為替相場を表示するモニター=2022年10月20日午後4時40分
一時、「1ドル=150円台」をつけた為替相場を表示するモニター=2022年10月20日午後4時40分
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 物価高が人々の生活を直撃している。原材料費の高騰に、石油価格の上昇、さらには円安が重なり、家計は厳しくなっている。円相場は一時、1ドル=150円台まで下落し、生活者の不安は高まるばかりだ。食料品や衣料品、光熱費などあらゆる分野で値上がりしており、まさに異例の事態。専門家からは「来春、再び値上がりする可能性がある」という指摘も出ている。

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「いろんなものの底値があがっています」

 こう悩まし気にぼやくのは、さいたま市に住む女性(55)だ。

 女性はマヨネーズが好きでよく購入する。以前であれば特売で98円で売っていたものが、現在は安くても200円台に。特売がなければ、税込みで300円台が“ザラ”になっているという。

「コーヒーも好きなんですが、100グラム100円だったのが、いまでは190円くらいになっている。値段は同じでも、容量を減らして、実質値上げしていることもある。じわじわと家計に影響してきそうだなと思っています。旬な野菜が安いので、そういったものを選びながら対応したいと思っています」(女性)

 いま様々な商品が値上がりしている。

 マクドナルドではビックマックが390円(税込)から410円に、吉野家では牛丼・並盛が426円から448円(税込、店内飲食時)に値上げしている。東京ガスは標準家庭で11月分のガス料金が10月と比較して、286円(税込)増えるとしている。

 帝国データバンクが実施している「『食品主要105社』価格改定動向調査」によると、9月末時点で判明した22年の食品値上げは2万665品目(予定含む)にも及んでいる。年間の平均値上げ率は14%だ。帝国データバンク情報統括部の担当者は「ここまで広範囲な値上げは記録的」と語る。

 この担当者は値上げの背景に主に3つの要因が絡んでいると見る。一つ目が今年の冬から春にかけての原材料費の高騰。世界的な人口増加や自然災害、さらにはロシアによるウクライナ進行などが影響したとされる。また、夏ごろからは原油価格の高騰、さらには円安も進行して、価格高騰につながっている。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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