文科省は「予算を拡充することで、スクールカウンセラーなどの配置を拡充することはあり得る。宗教問題についての相談窓口などがあれば、それを自治体に紹介することもできるのではないか」という。
旧統一教会問題に関して議論を行っている関係省庁連絡会議の事務局を務める法務省は、宗教2世の問題について、「2世問題も含めて、すでに対策を検討しているところ。今後施策を打ち出していく」という。
28日の記者会見では、旧統一教会の元信者の女性Bさんも、その特有の苦しみを語った。
Bさんは旧統一教会の合同結婚式で韓国人と結婚し、韓国に渡った。その後、脱会し帰国しようとしたが、パスポートを隠される妨害を受けた。最終的にはパスポートの紛失時などに発給される「帰国のための渡航書」を使って、子どもとともに帰国したという。
日本脱カルト協会によると、現在は13年に結ばれた「ハーグ条約」によって、子どもを連れて帰国するケースが困難になっているという。条約では、一方の同意を得ずして子どもを国外に連れ出した場合、元の居住国に戻すことを原則としているためだ。
また、帰国後に、日本語ができない子どもをどうケアするか、経済的な基盤をどう確保するかといった課題もあると同協会は指摘する。Bさんも「子どもは日本語ができず、公立小に行く際、『日本語ができないと困る』と言われた」という。
韓国から帰国できない女性らの問題について外務省は「既存の制度で対応できることはある」という。日本脱カルト協会も「帰国できるのにできないと思っている女性もいる。必要な情報を集約したポータルサイトをつくり、情報発信する必要がある」と語った。
同協会代表理事の西田公昭・立正大教授は国に対して最後にこう注文をつけた。
「多くの省庁や部門が連携する必要がある課題。行政の縦割りを超えていくためにも、指揮官になる特命大臣を立てるようなことをしてもらえれば」
旧統一教会の問題から新たな課題が見えてきた。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)