28日、日本脱カルト協会の西田代表理事(中央)
28日、日本脱カルト協会の西田代表理事(中央)

「数として全体の実態は把握はできていない。しかし、特定の思想信条を持って、子どもの権利を侵害する事例は多くある。カルト的な明確な人権侵害だけではなく、伝統的な宗教からも、親の信仰を継承することに悩んでいる2世はいる」

 こうした宗教2世の問題については、これまで専門的な対応をする機関などはなかったといい、日本脱カルト協会はこのほど、法務省や総務省、厚生労働省など関係9機関に、支援や施策についての要望書を出した。

 内容は、

(1)2世の子どもが抱える問題を児童虐待、あるいは新たな類型の児童虐待と位置づけ、適切な施策を作る。

(2)青年期の2世の抱える問題を、これまでの児童福祉や社会福祉のはざまで見落とすことなく対応し、支援する仕組みを構築する。

(3)専門家や当事者による研修をするなどして、2世とかかわる担当職員や専門職員(児童相談所、学校、消費者センター、精神保健福祉センター等)が、カルト団体の問題点、2世が直面する問題についての知見を得ることを制度化する。

(4)以上の施策を一時的なものに終わらせないために、カルト問題、2世問題に対応する専門家を養成し、安定的に継続して相談に対応できる仕組みを構築する。

(5)韓国をはじめとする海外に在住させられている統一教会などの団体の信者と2世の現状を把握し、特に自力での帰国が困難な2世らの支援、救済に尽力する。

(6)カルト被害の問題、特に2世問題は社会の多分野にまたがるため、複数の省庁間での連携を図る枠組みを常設する。

 などとしている。

 これらに伴う、役所の窓口の確保や物心両面での支援、支援プログラムの策定、省庁の連絡会議の常設、社会福祉士や教職員といった資格認定にも、カルトや2世問題についての内容を組み入れる――といった具体策も示した。

 この要望について厚労省の担当者は、「宗教虐待などの知識が十分ではないため、研修という対策はありえる。ただ、一般的に、国家資格となるとハードルは高いのではないか」との考えを示した。

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