■メリットとデメリット
マスクは、基本的対処方針で、場面に応じて着用が推奨されてきた。政府は今年2月10日、5類移行に先立ち、着用は3月13日から原則として個人の判断に委ねると決めた。医療機関や高齢者施設、飲食店や交通機関などの事業者が、感染対策または業務内容による理由から、従業員や利用者に着用を求めることは「許容される」としている。
文部科学省は同日、卒業式では、校歌を歌う時などを除いてマスクをつけないことを基本とする、という方針を発表した。
新型コロナウイルスが、ウイルスを含むつばなどの飛沫やエアロゾルを介して感染を広げるという状況は変わらない。不織布マスクには引き続き、飛沫やエアロゾルの飛散や吸い込みを抑える効果があるのも事実だ。そういった状況を踏まえ、政府はこう呼びかけている。
「高齢者や妊婦ら、重症化リスクの高い人が混雑したところに行く場合や、重症化リスクの高い人が大勢いる医療機関や高齢者施設に行く場合には、マスクを着用することで引き続き、重症化を防ぐことができる」
つまり、今後は自分や周囲の人のマスク着用のメリットとデメリットを総合的に判断して、個人の責任で着用するかどうかを判断することが求められる。周囲で大流行していて、自分が重症化する可能性が高い、あるいは自分が感染を広めることで重症化する人が周囲にいる場合には、着用のメリットの方が大きいだろう。一方、リスクが低ければ、息苦しさや肌への負荷、コミュニケーションのとりにくさなど、着用のデメリットの方が大きいと考えられる。
■全医療機関で診療可能
5類になれば、感染者や濃厚接触者に対する感染症法に基づく外出自粛の要請もなくなる。これまでは、原則として感染者は7日間、濃厚接触者は5日間、外出の自粛が求められていた。ただし、法的に要請されなくても、発熱などの症状がある人は、重症化や後遺症を防ぎ周りの人に感染を広げないためには、症状が治まるまでは療養するのが望ましい。
診療する医療機関や費用の負担もいずれ変わる。政府は5類への移行直後にすべてを変更するのではなく、順次変えていく予定だ。詳細は3月上旬にも公表される。