新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる予定だ。マスクを着用する場面や、医療費の個人負担のあり方も変わる。AERA 2023年3月6日号から。
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3月13日からマスクの着用は、原則として個人の判断に委ねられる。これまでは他の人との距離を2メートル空けられずに会話をする場合などに、マスクの装着が推奨されてきた。
変更は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ5類に引き下げられる予定であるのに連動した動きだ。
■外出自粛がなくなる
感染症法は、ウイルスや細菌などを感染の広がりやすさや症状の重症度など危険度に応じて5段階に分類する。1~5類まであり、1類は致死率が高く、危険度が最も高いとされるエボラ出血熱やペストなどだ。一方、5類には致死率のあまり高くない季節性インフルエンザやRSウイルス感染症、麻疹(はしか)などが指定されている。
新型コロナウイルスは当初、重症急性呼吸器症候群(SARS)や結核などと同じ2類相当に分類されていた。無症状の感染者も感染を広げる可能性があるなどの性質が判明してくるにつれ、既存の類型では対応が難しいとわかり、2021年2月、「新型インフルエンザ等感染症」という新たな分類になった。
感染症法上の類型によって法律に基づいてとれる感染対策が異なる。1類の病原体に対しては、汚染された建物への立ち入り制限や、就業制限、入院勧告、汚染されたものの廃棄などが可能だ。5類の場合、これらの措置の多くが対象外だ。
新型コロナウイルスは、1類に準じた対策に加え、1類にもない、感染者に対する外出自粛要請などの措置も可能だ。また、感染対策以外の対応も必要だという判断から、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、政府や都道府県に新型コロナウイルス感染症対策本部が設置され、緊急事態宣言が出されたり、飲食店への営業時間の短縮要請が出されたりした。
5類への移行で感染者に対する入院勧告や就業制限、外出自粛要請などがなくなる。特別措置法の対象でなくなるため、政府や都道府県の対策本部は廃止され、緊急事態宣言や、飲食店への営業時間の短縮要請などがなくなる。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(基本的対処方針)も廃止される。