慢性下痢の主な原因
慢性下痢の主な原因

 潰瘍性大腸炎やクローン病は若年者の患者が少なくない。腸管の粘膜が炎症や潰瘍を起こしているために、腸壁から滲出液や血液が分泌されることで下痢になる。

 こうした器質的な病気を見逃さないためにも、慢性的に下痢が続くなら、大腸内視鏡検査を受けることが推奨される。

「検査に抵抗がある人も多いと思いますが、調べて何もなければ心配事が解消されます。ストレスや不安が下痢の原因になっている人は、検査結果が安心材料になって症状が改善することもあります」(同)

■腸の機能異常は慢性で最も多い

 金子医師は、近年注目されている下痢として、胆汁酸の再吸収不良で起こる「胆汁性下痢」を挙げる。

「小腸の下部にある回腸の末端部分が、胆汁酸を再吸収する場所です。病気でこの部分を切除している人に起こりやすいことがわかっています」

 胆汁酸を吸着させる作用のある薬を使うことで、劇的に改善する可能性があるという。

 慢性下痢の原因として最も多いのは「過敏性腸症候群(以下、IBS)」の下痢型だ。IBSは腸そのものに病気があるわけではない。下痢型は腸の動きが活発になりすぎている状態にあり、腸の内容物の通過が速くなり、水分の吸収が間に合わなくて下痢になる。

 下痢が続く場合は、身近なクリニックを受診し、相談してほしい。

(文・狩生聖子)

※週刊朝日2022年12月30日号より

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