自らの命も危険にさらしかねないあおり運転。運転中、怒りを感じた時にはどうすれば良いのか。

 戸田さんによると、怒りを感じても、6秒もたてば理性が働く。運転中に怒りを感じたら、感情任せの行動に移らず、その6秒をやり過ごし理性を取り戻すことが重要になる。

 まず勧めるのが深呼吸だ。怒りで乱れた自律神経をととのえるために鼻で3秒息を吸って、口から6秒吐く。その間に6秒をやり過ごすことができる。

 怒りから一瞬だけでいいので、違う方向に意識を向けることも重要だ。

 そのために、例えば普段から自分の怒りの段階を10段階に点数化しておく。怒りを感じた時に、「今の自分は何点だ」と考える癖をつけておけば、意識をそらすことができる。

「怒りには防衛感情という役割がありますから誰にでも湧くもので、それ自体が悪いのではありません。あおり運転のように怒りをコントロールできず、感情任せに行動してしまうことが怖いのです。怒りはコントロールできるもの。車を運転する人なら誰にでもあおり運転をする可能性があるという前提に立ち、いざという時にコントロールする工夫を身につけてほしいと思います」(戸田さん)

 あおり運転を受けた被害者が“応戦”してしまい、双方が加害者になるケースも散見される。

 自分も加害者になり得るという心構えと、怒りが湧いた時への備えが大切だ。(AERA dot.國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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