今の時代、どんなテレビ番組を見ていてもテレビ局ごとの特色を強く感じることはあまりない。そもそも、バラエティ番組の多くは外部の制作会社によって作られているし、フリーのディレクターや放送作家が局をまたいで仕事をすることも珍しくない。
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熱心なテレビウォッチャーやテレビ業界人であれば「この番組のつくりは日テレっぽい」などと感じることはあるかもしれないが、一般視聴者がそういうことを意識することはあまりないのではないか。
ただ、1月9日に始まったフジテレビの新番組『ぽかぽか』(毎週月曜~金曜午前11時45分~)を見たとき、久しぶりに「フジテレビっぽいな」と思った。「楽しくなければテレビじゃない」というコピーに象徴されるような古き良きフジテレビらしさのようなものは、この時代にとっくに滅びたものかと思っていたのだが、『ぽかぽか』ではそれが墓場から蘇ってきたような感じがした。
番組冒頭、フジテレビ社屋の空撮映像をベースに、「ピンポンパンポーン」という館内放送のようなSEが流れた後、ナレーションが入る。
「本日よりフジテレビ7階にて、お昼の新番組『ぽかぽか』がスタートします。この番組は、お昼のひとときに皆さんの心がぽかぽかになるように楽しいことをお届けしたいと思っておりますが、初回は出演者もスタッフもギリギリまで準備をしており、何が起こるかわかりません。皆様ぜひぽかぽかした温かい気持ちで最後までお付き合いください」
このナレーションの、一見へりくだっているようで媚びているような何とも言えない独特のノリが、良くも悪くもフジテレビっぽいな、と思った。その後の放送回でも冒頭のナレーションのこの感じは続いた。以下、いくつか引用する。
「スタッフが番組名でエゴサーチして、すべてのネガティブ意見をチェックしており、参考にさせていただきたいと思っておりますが、昨日の今日なので一切反映できておりません。来週から参考にさせていただきたいので、本日もご意見、ご感想、お待ちしております」