この「資産把握」のために鈴木さんが勧めるアクションが、家計簿アプリを使うことだ。家計簿アプリが従来の紙の家計簿と大きく違うところは、銀行や証券会社などの資産データをひもづけできること。レシートを撮影して日々の支出を記録できるだけではなく、すべての口座を合計した資産を常に一目で把握できることが何よりのメリットだと鈴木さんは言う。

「私は、1日1回は家計簿アプリの画面を眺めて、ムダ遣いを反省したり、貯畜計画を練り直したりしています。まずは資産を把握するためにアプリを活用し、できる人は日々の支出の記録にもチャレンジして、把握と記録の両輪で、貯めてください」(鈴木さん)

【貯めるための準備2】買い物ではたった2つのことを意識する

 次に、「買い物のためのルール作り」。鈴木さん自身、以前はかなりのムダ遣いをしていたそう。「セミナーがうまくいってうれしい!自分にごほうび買っちゃおう」「忙しくてツライ。ストレス発散にピアス買っちゃおう」「今度の飲み会、キレイな人が多くて浮きそう。洋服買って、ネイルサロンも行かなきゃ」……といった具合だ。

 でも、2つのことを意識することで、このムダ遣いをぐんと減らすことができるという。1つは、お金を払う前に必要なモノかそうでないモノか、一呼吸おいて考えること。もう1つは、興奮していたり疲れていたり、不安だったりするときは、買い物に行かないこと。

 鈴木さんが何かを買う前に実際に考えているのは、「いつ、どんなときに使う?(洋服なら)合わせられる洋服はある?」「どのくらいの頻度で使う?」「同じモノをもっと安く買えるチャンスはない?」だ。この3つを考えた上で「必要」と判断したら、自信を持ってレジに向かう。また、興奮や疲労、不安に支配されているときに買ったモノは、軒並みいらないモノばかりだという実感から、平常心ではないと感じたときは買い物を避けて、まっすぐ帰宅するようにした。

 ただ、鈴木さんは「ムダ遣いを完全になくそうとするのは苦しい」とも言う。少しのムダ遣いが生活に潤いを与えるなら、それはムダではないということだから。

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飲み会は基本的に断らない