2024年度の統合を目指す東京工業大学(東工大)と東京医科歯科大学の新大学の名称が「東京科学大学」となると発表された。東工大は、同年に女性のみが出願できる「女子枠」を創設することも決まっており、大学改革を進めている。国立理系トップの東工大は女子学生が13%しかおらず、「男女差」が課題となっていた。その一方で、女子枠創設には、入試の平等性が損なわれるのでは、など疑問も上がっている。大学統合や女子枠創設について、卒業生はどう感じているのか。東工大環境・社会理工学院を卒業後、女優として活躍する山崎丹奈さんに大学への思いを聞いた。
* * *
「統合や女子枠の一報を聞いたときには、本当に驚きました。大学側が課題を感じた上で、新たな一歩を踏み出そう、改革しようという意識を感じました。東京科学大学、という名称については、シンプルで覚えやすいと思います。自分が両大学を知っている歴史以上にこれからの大学の未来は長いと思うので、新名称がなじむように、これからも変わりなくその専門性を磨いていってほしいです」
こう話すのは、2013年に東工大環境・社会理工学院(土木・環境工学系)を卒業した、女優の山崎丹奈さん(31)。学士課程(学部)の女子学生が約13%しかいないと言われる東工大において、“貴重”な女性の卒業生だ。さらに卒業生の多くが理系分野の研究職、技術職に進む中で、俳優として芸能界に入った山崎さんの経歴はかなり異色と言える。そんな山崎さんからみて、母校の改革はどう映っているのだろうか。
「確かに、入り口の入学者数を増やせば、出口も増えるわけで、女性の研究者や技術者も増えるでしょう。ただ、その仕事をするにあたって女性が働きやすい環境が整っているかといえば、受け入れ先の組織や企業で変わってくると思います。もちろん女性枠は大学ができる対応の一つだと思いますが、女性の人生をどう考えるか、という意味でソフト面でもっとやれることはあるのではないでしょうか。女子学生が増えても、たとえば、大学内の研究環境が改善しなければ、状況が良くなったとは言えないと思います」