「ただ、USGSが出している1900年から2016年にかけて起こった地震の分布図を見ると、東アナトリア断層付近は規模の大きな地震は少ない。M6を超える地震はここ20年ほどの間に少し起きていますが、M7を超える地震、ましてや今回のM7.8クラスの地震は大昔までさかのぼらなければ発生していない場所です」
しかし、プレート境界から離れた場所で起きる日本の内陸地震とは違い、東アナトリア断層の場合はまさにプレート境界そのものなので、地震が起これば、そこにたまった力が地上を直撃する。
日本では同様の地震が起きることはないのか?
「トルコの場合、プレートの境界が陸地にあります。一方、日本ではプレートの沈み込みは海で起きているので、今回のようなプレート境界における横ずれ地震は起こり得ません。ただ、陸地の横ずれ断層による地震、という意味では兵庫県南部地震や熊本地震などの例があります」
■迫る72時間
被災地の映像を見ると、大勢の人が家屋の下敷きなって亡くなった阪神淡路大震災を思い出す。
今回の被害の大きさについて、これまでトルコで調査を行ってきた山本副主任研究員は、「地震の揺れの大きさもありますが、やはり、建物の耐震性の低さが要因の一つとしてあると思います」。
冬の寒さのなか、生存率が急激に低下する、地震発生から72時間が迫っている。一人でも多くの人が助かってほしいと願うばかりだ。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)