「あとは、僕もプロデュースする際に意識している“エンタメ性”“アミューズメント性”のあるサウナ。サウナ室にすてきなデザインだったり、楽しさだったりを求めるようにしています。最近プロデュースしたものでいうと、サウナ室に5台のストーブが並んでいる『スパメッツァ おおたか竜泉寺の湯』や、サウナ室にいながら野球観戦ができる『北海道ボールパーク』(2023年3月開業予定)などがそうです」

「プロデュースするときはとにかくワクワクするようなサウナを造るようにしています。常に30 ~ 40件くらいのプロジェクトが動いていて、最も先だと8年後にオープンする施設もあるんですよ」

 サウナにも、関西と関東で文化の違いはあるのだろうか。

「関東はサウナ+水風呂というのが基本ですが、そもそも関西は温度差のあるお湯と水に交互に浸かる温冷交代浴の方が根強い人気ですよね。でも、これからどんどんサウナ専用施設も増えていくと思いますよ」

「アウフグース」こそ
エンターテインメントだ

 最近、サウナ周りでよく聞く言葉が「アウフグース」。ドイツ生まれの入浴法で、プロアウフギーサーなる職業まであるという。その一人、鮭山未菜美さんに話を聞いた。アウフグースこそ、サウナで楽しむ「エンタメ」だという。

鮭山未菜美さんは、ACJ2022世界大会チャンピオンアウフギーサー。全国70以上の施設で毎日アウフグースを行う (撮影/Ryszard Rak)
鮭山未菜美さんは、ACJ2022世界大会チャンピオンアウフギーサー。全国70以上の施設で毎日アウフグースを行う (撮影/Ryszard Rak)

「ロウリュによって発生した蒸気をタオルであおぎ、サウナ室やひとりひとりに熱風を送るサービスがアウフグース。アウフギーサーが音楽に合わせてパフォーマンスすることもあります。アウフグースを受けているとあっという間に時間がたってしまうので、あまり苦しさを感じることなく、勝手に体が温まる。その結果、水風呂や外気浴がより気持ちよくなり、“ととのい”やすくなるんです」

 そのやり方はさまざま。パフォーマンスを競う世界大会もあるという。

「アウフギーサーのチームによってもカラーが全然違います。私が所属している関東のチームでは、サウナ室の温度管理もしながら、しっかり風を届けるのがポリシー。関西のチームはテクニックで魅せるという違いがあります」

「私は2022年、日本代表として世界大会に出場しました。ストーリー仕立てで10~15分間、音楽に合わせながらパフォーマンスを行います。評価基準はタオルテクニックだけでなく、構成やアロマ水のセレクトなど多岐にわたります」

「アウフグースというと『熱さに耐えられないんじゃないか』と思う人も多いのですが、熱さにまだ慣れていない人にこそアウフグースを受けてほしいなと思っています。あっという間に時間が過ぎて、水風呂もすんなり入れるはずですよ」

(構成 高島夢子/生活・文化編集部)

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