近年は高尿酸血症そのものが、肥満や糖尿病につながる「インスリン抵抗性(インスリンは分泌されているが、感受性が低下して作用が鈍くなる)」や高血圧をまねくなどの、新たな問題点も指摘されているという。
慢性腎臓病を筆頭に、全身に悪影響を及ぼす高尿酸血症。その予防、治療には「生活習慣」の改善が欠かせない。だが、ちまたにあふれる情報には「エビデンス(科学的根拠)」に乏しいものが多くある。惑わされないように注意したい。
まず、よく耳にする「プリン体」と「尿酸」について、山中医師が次のように説明する。
「プリン体は細胞の新陳代謝やエネルギー代謝に伴って、ヒトの体内でも生成、分解される物質で、7~8割は体内で作られています。食品の摂取によるものは2~3割で、プリン体は食物全般に含まれる成分。うまみの成分でもあります」
プリン体の摂取量は「1日400ミリグラム以内」を目標にするといいという。食品のプリン体含有量を参考にする際には、1食分に換算して考えるのが大切だ。大半のリストは100g換算で表示しているが、肉や魚ならペロリでも、かつお節やきなこを1回100g食べることはまずない。
「高プリン体食品についても、日常的に大量に食べるのは問題がありますが、たまに食べる分には神経質になる必要はありません。総カロリーを適正にとることのほうが大切です。脂身が少ない部位であっても、タンパク質の多い主菜の食べすぎには注意。海藻や野菜などでかさ増しするのがいいでしょう」(山中医師)
「プリン体が少ない、あるいはゼロのアルコールはいくら飲んでも大丈夫」というのも誤りだ。
「アルコールはプリン体がカットされていても、アルコール自体が尿酸値を上げます。アルコールの摂取過多は尿酸値以外にも脂肪肝や肝障害、アルコール依存症のリスクもあり、他の病気につながることもあるため、注意が必要なのです」(同)
■心身のストレスは尿酸値を上げる
脱水は血液をドロドロにして尿酸値を上げるため、サウナや運動で汗をたくさんかいたり、コーヒーやアルコールなどの利尿作用のある飲み物をとりすぎたりすると、発作を起こしやすくなる。