「感染拡大を防ぐために休業を命じられ、解禁になったらすごい人が押し寄せた。コロナ対策で鬱屈(うっくつ)していた若者が一気に梨泰院に来たんです。それであの事故。梨泰院はコロナに呪われています。損失補償はないっていう話です。この後、乗り切れるかどうか」
再び梨泰院の街を歩く。閉鎖された店が次々に現れる。窓越しに店内をのぞく。暗い店内には新型コロナウイルスへの怨念のようなものが漂っているようだった。
(下川裕治)
■しもかわ・ゆうじ 1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)。