「これ以上やせたら死んでしまう。無理やりにでも入院させたい」
「1年前から生理が止まっているようだ。将来、子どもを産めなくなるのではないか」
「医師から脳が萎縮していると言われた。もっと早く受診させればよかったと後悔している」
というように、やせすぎた子どものからだを心配して相談してくるケースが目立つ。
一方、本人は「やせたままでいたい」「もっとやせたい」と思っているので、やせの程度が軽いうちは本人からの相談は少ない。かなりやせてから『からだがきついのでどうすればいいか』と相談してくることはあるものの、『心の部分には踏み込まれたくない』と言われてしまうこともあるという。
「ある相談者が『(やせによる)低血糖で内科や救急科は受診するけれど、精神科や心療内科には行きたくない』と言っていたのが印象的でした。治療への不安からこのような言葉が出ている可能性もあるので、病院に行きたくない理由を尋ねるようにしています」(河合医師)
■過食嘔吐で跳ね上がる食費、汚物だらけの部屋
過食症はやせ願望や肥満への恐怖は拒食症と共通だが、食欲をコントロールできず、無茶食いをする。食後は激しい自己嫌悪に陥り、過食をなかったことにしようと嘔吐や下剤の乱用などの「代償行為」をおこなうのが特徴だ。河合医師は言う。
「体重は正常範囲なので、命が危険にさらされることは拒食症ほど多くはありません。しかし過食嘔吐をしたり、大量の食べ物を調達するために万引きをしたりするなど、生活への悪影響が大きい。本人も家族も拒食症とは違う苦しみを抱えています」
親からは、
「食べ物を置いておくと全部食べられてしまう。隠したり、冷蔵庫に鍵をかけたりしているが、対処しきれない」
「娘にキッチンとトイレを占領され、しかも吐いたもので汚いまま。生活がめちゃくちゃです」
「調味料を1本丸々飲まれてしまう、からだも心配です」
「食費が毎月20万円を超えていて、もう家計が持ちません」