身長と体重から算出する「体格指数BMI(Body Mass Index)」では、18.5未満はやせ(低体重)、15未満は最重度のやせに分類される(河合医師提供)
身長と体重から算出する「体格指数BMI(Body Mass Index)」では、18.5未満はやせ(低体重)、15未満は最重度のやせに分類される(河合医師提供)

「これ以上やせたら死んでしまう。無理やりにでも入院させたい」

「1年前から生理が止まっているようだ。将来、子どもを産めなくなるのではないか」

「医師から脳が萎縮していると言われた。もっと早く受診させればよかったと後悔している」

 というように、やせすぎた子どものからだを心配して相談してくるケースが目立つ。

 一方、本人は「やせたままでいたい」「もっとやせたい」と思っているので、やせの程度が軽いうちは本人からの相談は少ない。かなりやせてから『からだがきついのでどうすればいいか』と相談してくることはあるものの、『心の部分には踏み込まれたくない』と言われてしまうこともあるという。

国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長の河合啓介医師
国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長の河合啓介医師

「ある相談者が『(やせによる)低血糖で内科や救急科は受診するけれど、精神科や心療内科には行きたくない』と言っていたのが印象的でした。治療への不安からこのような言葉が出ている可能性もあるので、病院に行きたくない理由を尋ねるようにしています」(河合医師)

■過食嘔吐で跳ね上がる食費、汚物だらけの部屋

 過食症はやせ願望や肥満への恐怖は拒食症と共通だが、食欲をコントロールできず、無茶食いをする。食後は激しい自己嫌悪に陥り、過食をなかったことにしようと嘔吐や下剤の乱用などの「代償行為」をおこなうのが特徴だ。河合医師は言う。

「体重は正常範囲なので、命が危険にさらされることは拒食症ほど多くはありません。しかし過食嘔吐をしたり、大量の食べ物を調達するために万引きをしたりするなど、生活への悪影響が大きい。本人も家族も拒食症とは違う苦しみを抱えています」

 親からは、

「食べ物を置いておくと全部食べられてしまう。隠したり、冷蔵庫に鍵をかけたりしているが、対処しきれない」

「娘にキッチンとトイレを占領され、しかも吐いたもので汚いまま。生活がめちゃくちゃです」

「調味料を1本丸々飲まれてしまう、からだも心配です」

「食費が毎月20万円を超えていて、もう家計が持ちません」

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