「ババア」を定義するところ、つまり日本社会においては、幼女以外はみんなババアに見えてしまう男の病、なのではないだろうか。年齢も見た目も関係なく、男にとっては全ての女はババアである。ババアとは男たちが一方的に甘え、一方的におとしめていい存在である。そしてまた、女性自身がババアになることに嫌悪を感じる制度設計も同時に行われているようでもある。様々なメディアや世間からはいまだに、こんな声が聞こえてくる。早く産め。若いうちに最低1人は産め。あまり稼ぐな。女が稼ぐと結婚せず子どもを産まない社会になる。結婚に憧れろ。結婚しなくちゃ生きていけないと思い込め。男の名字になるのは幸せなことだと思え。子どもを産んだ女には特別待遇をしてやる。子どもを産んだら金をやる。奨学金の減免を考えてもいいぞ。産まない女のことは知らないけどね。結婚しないで老後孤独死しても関係ないからね。そう、35歳までに結婚せず、子どももいなかったらヤバイ……という刷り込みはもう十分に行き渡っている。20代の女性たちが自ら「ヤバイ、ババアだし、私」と焦るくらいには。

 3月8日、国際女性デーが今年もやってきた。ふだん女性を虐めている男性たちには反省をしていただきたい。「ババア」「ブス」と女を罵り、相手だけでなく自分をおとしめるのもやめようと、今日、決意していただきたい。日本は世界的にもジェンダーギャップが激しい国になっているわけだが、それはこの国が、女に惨めさを強いているからだろう。より豊かに、より自由に、自分の思うままに生きられるのだ、という人生への希望と信頼を、この国の女たちがとっくに失っているとしたら、それはあまりにも残酷なことだから。日曜のカフェで、「ババアだから」と、必死にマッチングアプリを操作する20代の女性たちの姿は、あまりにも惨めに見えたものだから。

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