リスクを取ってでも転身を見据えるのであれば、支出を減らす必要がある。生涯コストを抑えるポイントが健康だ。

「収入は自分でコントロールできませんが、健康はコントロールできます。ランニングや食生活の改善など、できることはすぐにでも始めるべきです」

 自営業やフリーランスとして働く場合、会社員の厚生年金に当たる年金の2階部分をどう確保するか。深野さんは、終身払いが原則の国民年金基金への加入を勧める。

 大学院などで学び直す際に留意すべきことは何か。

 深野さんは「入り口だけでなく、出口をプロデュースできる人でないとコストの掛け損になります」と言う。資格を取った後、どうやって持続可能な収入につなげるか。資格を取って自営業を目指す人が筋の良い顧客を確保するには、斡旋(あっせん)業者に頼るより、自力で築いたネットワークや人脈がカギになる。今の会社の同僚や取引先も顧客になる可能性があり、転身を図る前からの積み重ねや自分を売り込むプロデュース力を養う準備が必要だ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年2月17日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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