首都圏の公立高の野球部の部員が、副顧問が罵倒する様子をボイスレコーダーに録音し、その内容を保護者が書き起こした。これを証拠に、教育委員会にパワハラを訴えた(撮影/写真部・高野楓菜)
首都圏の公立高の野球部の部員が、副顧問が罵倒する様子をボイスレコーダーに録音し、その内容を保護者が書き起こした。これを証拠に、教育委員会にパワハラを訴えた(撮影/写真部・高野楓菜)
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わいせつ行為などで処分された教員(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)
わいせつ行為などで処分された教員(AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)

 理不尽な部活顧問の暴言やパワハラに対し、権力に屈しない保護者が増えてきた。昨今のスポーツ界での「パワハラ告発」が保護者の行動を後押ししているという。AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号では、パワハラ教諭の実態とその対抗策について紹介する。

*  *  *

 首都圏にある公立高校では、野球部顧問のパワーハラスメントに対し、立ち上がった親もいる。

 2年生の男子生徒は1年生だったある日、野球部の顧問から無視されるようになった。練習では声もかけられないし、目も合わせられない。体育の授業の際の点呼は自分だけ飛ばされた。

 身に覚えがあった。その少し前に、2年生が自分の同級生を殴る暴力事件が起きたが、それについて顧問は部員らに何の説明もしなかった。正義感が強く納得できない男子生徒は、

「どうなっているんですか? 部全体に説明してください」

 と願い出た。顧問は、

「おまえには関係ない」

 と取りあってくれなかった。そこから無視が始まった。

 実は彼らが入部する前の年、顧問は部員に暴力をふるい一時期謹慎していた。だが、学校は教育委員会にも高野連にも届けていない。そんな蒸し返されたくない過去があるからか、説明を求める男子生徒を疎ましく思ったようだ。試合のメンバーから外されるようになった。

「おまえなんか永遠に入れないんだよ!」

 と、怒鳴られた。

 同学年の別の部員も顧問、副顧問の2人からパワハラを受けた。体育祭の日は、

「おまえみたいなやつは野球部の輪にもクラスの輪にも入るな」

 と言われ、終日用具室の前で過ごした。出場種目も制限された。練習中に自分の意見を言うと「なに反抗してんの」とけんか腰。この生徒はスポーツ推薦で入学したため「部をやめるなら学校もやめろ」と脅迫のように言われた。

 顧問らからパワハラを受けた2人の親たちは、一緒に学校へ出向き指導の改善を申し出た。学校長は「行き過ぎた指導」と認め改善を約束したが、その日から2人への無視や暴言はさらに悪化した。そこで親は、息子にボイスレコーダーを持たせた。

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