Change.org Japanを運営する、右から武村さん、加藤さん、遠藤さん。東京・渋谷のシェアオフィスが彼らの拠点だ。「発信者があげてくれた声を、そのままの熱量で、わかりやすく広げていくお手伝いをしたい」(加藤さん)(撮影/写真部・張溢文)
Change.org Japanを運営する、右から武村さん、加藤さん、遠藤さん。東京・渋谷のシェアオフィスが彼らの拠点だ。「発信者があげてくれた声を、そのままの熱量で、わかりやすく広げていくお手伝いをしたい」(加藤さん)(撮影/写真部・張溢文)
AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)
AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より)

 女性差別や大学入試改革など様々な問題で声なき声を「見える化」し、社会に問う。そんな役割を担うChange.orgは欠かせない存在だ。話題になった#KuTooでは、「中の人」たちによる知られざる助力があった。AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号で掲載された記事を紹介する。

【図を見る】「Change.org」で行われた主な署名活動

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 2019年の流行語トップ10にも選ばれた#KuToo。

 男の人は履かないのに、どうして女の人だけヒールを履けって言われるんだろう。痛いし嫌だな。ひとりの女性が漠然と抱えていたモヤモヤが、流行語になるほど認知されたのには様々な理由があるだろうが、大きな後押しとなったのがオンライン署名サイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)の力だ。

 チェンジが最初に広く知られることになったのは14年の東京都議会でのセクハラヤジ問題だろう。晩婚化対策について質問した塩村文夏議員に対し「自分が早く結婚すればいい」などとヤジが飛び、抗議の署名が数日で8万超も集まったのだ。

 このとき署名を集めるキャンペーンを立ち上げたのは、政治的な団体に属しているわけでもなく、何の組織的な後ろ盾も持たない一個人だった。

「権力を持たない人たちが声をあげて、変化を起こすことが当たり前である社会を立ち上げる。それが世界でチェンジが目指しているミッションです」

 と説明するのは、Change.org Japanのカントリー・ディレクター、武村若葉さんだ。

 チェンジは07年にアメリカで創設された。日本オフィスは12年に開設し、非営利型の一般社団法人として運営されている。運営の費用は、月額500円~の任意の会費で賄われる。

 チェンジのプラットフォームを使うことで、誰でも手軽にキャンペーンを始めたり、賛同の署名をしたりできる。必要なのは名前とメールアドレスだけ。自分が賛同したキャンペーンはシェアして拡散できるほか、150円から40万円の範囲で広告費を出資し支援することもできる。金額に応じてサイト内での表示回数が増える仕組みで、これも運営資金の一部となる。

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