みかんの恋は進展するか
みかんの恋は進展するか
この記事の写真をすべて見る
あの母が帰ってきた!【AERA2019年12月30日・1月6日合併号】で連載再開!
あの母が帰ってきた!
【AERA2019年12月30日・1月6日合併号】で連載再開!

 2012年に読売新聞日曜版での連載を終了した、けらえいこさんの漫画「あたしンち」が7年ぶりに復活した。新天地は週刊誌「AERA」。2019年12月30日・1月6日合併号(12月23日発売)から連載が再始動した。連載の再開に先立って、『あたしンちベスト』の刊行も始まった。全21巻、711話の中から、どうしても読んでほしい200話を、けらさん本人がセレクトした初の傑作選だ。1・2巻が12月20日、3・4・5巻が2020年1月20日に発売される。連載の移籍が実現した背景には何があったのか。

【画像】あの母が帰ってきた!

*  *  *

■「連載終了は、過労が原因です」

 『あたしンち』は大ざっぱなお母さんと高校生のみかんを中心に、タチバナ家の日常をユーモアたっぷりに描いた人気漫画。「あるある」「うちのお母さんとそっくり」などと読者の共感を集めてきた。1994年に読売新聞で連載が始まり、テレビアニメ化、映画化された。全21巻のシリーズ累計で1100万部を突破している。

「連載終了は、過労が原因です。サラッと描いているように見えて、かなり時間をかけていました。更年期に入ったら、身体がもたなくなりました」

 読売新聞の連載が終了した理由について、けらさんはこう振り返る。タチバナ家のほのぼのした日常を描く作業は、作者にとっては決してほのぼのしたものではない。身を削るような作業だったのだろう。18年にわたって続いた連載は、2012年に終了した。

■エゴサーチが元気をくれた!?

 連載を再開したいちばんの理由は、若いファンたちの厚い支持だ。アニメを見ていた子どもたちが大人になって、ツイッターなどのソーシャルメディアに「あたしンち」の感想を書き込むようになっていたのだ。「それがすごくうれしかったんです」と、けらさんは言う。

 けらさんは「『あたしンち』のキモは細部にあって、そこに苦心していた」というが、その大事な細部がスルーされがちなことに寂しさを感じていた。その細部が正確にファンに届いているとツイッターで知り、けらさんの疲れは吹き飛んだ。雪が降れば、「お母さん」の雪だるまがツイッターに上がった。「あたしンち」の続きを描く意欲が高まっていった。

次のページ
タチバナ家の「日常」が始まる