テレワークの導入などの影響で、職場以外で仕事をする人が増えた昨今。巷には様々なタイプのワーキングスペースが誕生している。AERA 2019年11月25日号に掲載された記事を紹介する。
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約束の時間まであと30分。最寄り駅に着いたが、待ち合わせ場所へ向かうにはまだ早い。とは言え、カフェに入る時間はない。そんなときにピッタリなワーキングスペースが、JR新宿駅にある「STATION BOOTH」だ。甲州街道改札の雑踏のなか、改札のすぐ先(構内側)に大型の電話ボックスのようなブースが四つ並んでいる。個室型のワーキングスペースで、15分単位で予約・利用できる。JR東日本事業創造本部の中島悠輝さんはこう話す。
「駅という移動ロスがもっとも少ない空間で、効率的に仕事をできるスペースをつくりたいと企画、開発しました」
開業から2カ月で、延べ3500人が利用したという。新宿駅の他にも東京駅、池袋駅、立川駅に設置されているが、拠点数を増やしてほしいという要望も多く、検討を進めているという。
最初トビラを開けた際は狭いと感じたが、実際に座ると足元には余裕があり、圧迫感もない。構内放送や話し声がなんとなく聞こえてくる。この空間で無音だと少々怖いが、程よいざわめきが集中力を高めてくれそうだ。長時間仕事をするには狭さが気になりそうだが、短時間なら移動のロスも少なくちょうどいい。
ただし、STATION BOOTHは一部に2人用もあるが、基本は1人用だ。出先で打ち合わせには使えない。かといって、オープンスペースで仕事の話をするのははばかられる。そんなとき便利なのがカラオケボックスだ。
複数人にせよ、単独にせよ、カラオケで仕事をする人は昔からいた。だが、カラオケ大手のビッグエコーでは通常利用とは別に、「オフィスボックス」というビジネス向けプランを用意している。ビッグエコーを運営する第一興商の川崎敏史さんは導入の経緯をこう話す。