「この規約を聞いた時、率直に残念な会社だと思ったし、これを決定した上層部に呆れてしまった。そこまで細かく規定するのは、社員を信頼していないことの表れでは。チームとしてコミュニケーションがうまくとれていて注意し合えれば、そぐわない場面でジーンズをはくことはないはずです」
服装に関しては、男性からの意見も寄せられた。新潟県で電話オペレーターとして働く男性(55)は、会社の「スーツ着用」というルールに対し疑問を抱く。
「一日中部屋にこもってお客様からの電話に対応する仕事。直接誰かと会うわけでもないため、なぜスーツでなければならないのか疑問です。女性の場合はスーツと言ってもスカートやパンツスーツ、ビジネスカジュアルと幅がありますが、男性はスーツと言われればスーツしかない。男女でここまで違うのは納得がいかない毎日です」
東京都でフリーランスとして働く女性(51)は、若い時にどう考えても「女性だから」という理由で、あるイベントの登壇者に花束を渡す係を頼まれた。考えてみれば、世界レベルの大会でも表彰式を見ると、授与者が渡すメダルを運ぶ係は女性ばかり。
「テレビなどでその様子を子どものころからずっと見るわけですから、『女性が○○すべき』という性別役割の刷り込みはこうしてできていくのでは。まずは女性が『お飾り』という意識を変えるべきです」
大手企業の有人受け付けが女性ばかりなのも気になると言う。
「まだ働ける元気なシニア男性が受け付けでもいいのでは?」
お茶くみや電話番、受け付けなどが女性だけというのに対する疑問の声は多いものの、話題になった「メガネ禁止」については理解を示す声があった。
客室乗務員として勤続約20年の40代女性は、メガネは安全上の問題で、緊急時には乗客にもメガネを外すようアナウンスするという。このように理由がはっきりしていれば、ルールにも納得ができる。
もう一つのポイントは、女性だけではなく男性にも同じルールがあるかどうか。日系航空会社で働く50代のベテラン女性客室乗務員も「メガネ禁止は、安全上仕方がないと理解している」と話す。
「客室乗務員の場合、女性だけでなく、男性も同じですから違和感は覚えません」
(フリーランス記者・宮本さおり、大楽眞衣子)
※AERA 2019年11月25日号より抜粋