AERA11月25日発売号の特集は「英語で気持ちを伝えたい」。人気沸騰のNetflix番組「クィア・アイ」をお手本に、ほめる英語、気遣う英語などの表現やマインドを学ぶ。ゲイとして時に偏見と闘ってきた体験を持つ出演メンバー“Fab 5”の、本気で相手を理解し思いを伝えようとする言葉は、悩みを抱える依頼人の心を開き、外見だけでなく内面に変化をもたらしていく。その様子に「涙腺が崩壊」「最高すぎる」とSNSでは絶賛の嵐。
【写真】Fab 5の記事が掲載されたAERA(12月2日増大号)はこちら
世界中にクィア・アイ旋風を巻き起こしている、彼らの卓越したコミュニケーション術とは? 取材に、フード&ワイン担当のアントニ、カルチャー担当のカラモ、インテリア担当のボビーの3人が答えてくれた。
* * *
――番組では毎回依頼者にとってセンシティブな問題に触れるわけですが、コミュニケーションにおいて、おもに言語の面で、心がけていることがあれば教えてください。
ボビー:誰かの家、国にお邪魔することに対して、物理的な場だけでなく、習慣や伝統にもちゃんと敬意を払いたいと思いました。まず話をしてもらい、会話で相手の人となりをみることを心がけました。自分が話すのは会話の半分だけ。同じように相手の話も聞くことが、すごく大事。あとはスラングを使わないことも心がけました。ネイティブの英語スピーカーにも意味をなさない言葉やフレーズは使わないようにしています。
カラモ:私の担当分野(カルチャー)の性質を考えると、文化や言語の違いが壁になるのではないかと懸念していました。でも、依頼人の人たちと目があった瞬間、すぐに人として理解し合えました。共感と傾聴こそが世界共通の言語だと思います。
アントニ:アメリカでもそうなんですが、なるべく決めつけずに自由に回答してもらえる質問をするようにしています。依頼人の方々が、弱い部分をさらけ出し正直に気持ちをぶつけてくれるのが当たり前だとは思っていません。特権だし責任でもあって、軽く受け止めてはいけないものだと思うんです。
――Fab5メンバーの話す言葉は、とてもあたたかいのに、強さが伝わるものばかりです。なぜでしょうか?
ボビー:結局のところ僕らは、他人の家にやってくる5人のよそ者です。もちろん依頼人を手助けするためにいるわけですが、彼らを圧倒して困らせてしまう可能性もある。だから僕はいつも、行動と言葉の両方で、そして愛情をもって導きたいと思っています。ダイレクトで率直なコメントでも、温かく誠実に接していれば、受け入れてもらいやすくなる。冷たい感じになってしまうと、相手の感情を傷つけ、ミスコミュニケーションを引き起こしかねないですよね。
アントニ:僕はあたたかさの同義語は共感だと思います。僕たちは「エキスパート」ということになっていますが、その肩書にとらわれすぎず、好奇心旺盛な一人の人間として、シンプルに自分のベストを尽くそうと思っています。
僕自身の個人的な体験を紹介することから始めますが、これは依頼人の悩みや過去の体験に純粋に好奇心があるからです。直接的に話すのは、正直でありたいから。僕は説教をするためにその場にいるわけじゃなく、人生や食べ物に関して僕が持つ限りのあらゆる知識を伝えるためにいるんです。
カラモ:真実をポジティブに、その人のためになるように伝えることはとても重要で、そうすれば真実を受け入れ、そこから成長できます。