青砥さんは、ウェブ上のカレンダーに「自分のハッピー」をできるだけ多く入れ、色分けして予定表をカラフルに彩っている。リラックス・リフレッシュの時間、趣味や好きなことをする時間、大切な人と接する時間。コーヒーを飲むといった些細なことから海外旅行など大きなイベントまで、カレンダーをハッピーなことで埋め尽くすのだという。

「ハッピーは待っていてもなかなかやってきません。自分でハッピーの表面積を広げるんです」(同)

 そもそも、人間の注意はネガティブに向きやすい。脳のACC(前帯状皮質)と呼ばれる部位がエラーを検知するからで、10のうち8できても、意識は残りの2に向かう。

「ダメな部分ばかり目に付き、自己否定感につながります。最初はモチベーションがあった仕事でもだんだんイヤになるのは、この脳の作用が原因です」(同)

 逆に、「楽しいこと」や「できた部分」にはなかなか注意が向かない。モチベーションを保って仕事をするには、楽しさややりがいに意識的に注意を向ける必要がある。ささやかな喜びに気付き、自分の予定を楽しい要素で彩ることは、ポジティブを見いだすトレーニングにもつながる。

 さらに、ドーパミンの作用も見逃せない。予定にある「楽しみ」が近づくと、それを欲する感覚が強くなり、脳内にはドーパミンが分泌される。ドーパミンはストレスを低減させるので、「楽しみ」を感じた直後に意識を仕事に向ければ、副次的にパフォーマンスが高まると考えられる。

(編集部・川口穣)

AERA 2019年11月11日号

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