スコットランド戦でタックルをくらいながらもオフロードパスを出す堀江(c)朝日新聞社
スコットランド戦でタックルをくらいながらもオフロードパスを出す堀江(c)朝日新聞社
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 ラグビーワールドカップ2019日本大会で、日本代表の快進撃が続いている。1次リーグを4戦全勝で1位通過。難敵、南アフリカとの試合に注目が集まる。

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 その快挙に日本中が沸いているが、特に熱視線をグラウンドに注いでいるのが格闘技ファンだ。記者もその一人。ラグビー知識はほぼないが、想定外な格闘技要素の強さに、

「腰に大男を着けて振り回しながら走ってる……」
「スクラムの組み合い方が密着していて、どの太ももが誰のものだかわからない……」
「いまのプレー、プロレス技みたいだった……」

 と驚愕と感動の連続だ。相撲経験のある男性は、こう語る。

「タックルされてもなかなか倒れない。オフロードパスをしている人を見ると、この人が相撲を取ったら強いだろうなと思う」

 投げられてもふんばる、幕内力士・炎鵬の姿を重ねあわせるという。そういえば「重戦車軍団」と呼ばれた明治大学ラグビー部を率いた故・北島忠治監督は相撲部出身だった。

 1980年代に活躍したプロレスラーの故・阿修羅原(本名・原進)さんは、ラグビー日本代表のフォワードとして17試合に出場、世界選抜チームのメンバーにも選ばれている。スポーツライターで元「週刊プロレス」記者、『夜の虹を架ける 四天王プロレス「リングに捧げた過剰な純真」』(双葉社)の著書もある市瀬英俊さんは、日本対スコットランド戦後半の47分頃に出たプレーに注目する。日本代表の選手が、スコットランド代表選手にタックルしたところ、「投げっぱなしジャーマン」のような形になったのだ。

「ラグビーには本当にいろいろな要素がありますが、格闘技要素もあると思います。あの“ジャーマン”は試合の流れの中でたまたま出てしまったプレイだと思いますが『ワッ!』と声が出ました」

 例えば相手がボールを持って走ってきて、それを正面からタックルしにいくとする。相手が走って来る時、当然膝を上げる。

「そうすると相手の膝がプロレスでいうところのキチンシンクとかジャンピングニーみたいな感じで、膝がタックルする側の選手のみぞおちや顔面に入ってくることもあるんじゃないか。そういうダメージは語られないですが、結構すごいものがあると思います。技術的にレスリングのタックルを学んだ可能性はあるかもしれませんが、あれだけ突進してくる相手に対してタックルというのはない。格闘技を超越していますよね

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