「私学の両雄」早稲田大学と慶應義塾大学。各界に多彩な人材を輩出してきた両校の魅力とは何か。早稲田はSHOWROOM前田裕二社長、慶應は大学院生・小林さやかさんが語る。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。
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■慶應 小林さやかさん(31)大学院生
高校2年のとき、『ビリギャル』を書いてくれた坪田信貴先生と塾で出会いました。当時、私の成績は底辺、学校では問題を起こしてばかり、大学進学は一切頭にない状況でした。坪田先生との面談で慶應について尋ねられたときも「嵐の櫻井翔くんが行ってるなら行ってもいいよ」と答えたぐらい。それから私の受験勉強が始まりました。経済、商、文、総合政策を受けて、合格したのは総合政策でした。校舎は湘南藤沢キャンパス(SFC)。「東京じゃない!」っていうのが正直な気持ちでしたが、SFCには野望がある学生が多かったです。起業したいとか、海外で働きたいとか。一方の私は大学で何を学ぶかよりも、どんな人と出会うかの方が大切でした。慶應は出会う人たちがみんな面白い。坪田先生に「慶應の威力は卒業してから分かる」と言われていましたが、今の仕事を通して実感しています。慶應での出会いは、一生の財産になると思っています。
■早稲田 前田裕二さん(32)SHOWROOM社長
何浪も経て政治経済学部に入った高校の先輩がよく早稲田大学の魅力を語ってくれました。「雑草の最高峰」といった表現だったのですが、下町出身で泥臭い人生を過ごしてきた自分の感覚にマッチしました。その先輩がある夜、大隈講堂に連れて行ってくれ、ふと講堂を見上げた時に電撃が走った。論理ではなく感覚で「ここに入るんだろうな」と思いました。入ってみると本当にいろいろな人がいて、堕落している人はいますが(笑)、尖った人はものすごく優れている。この極端な振れ幅が魅力です。貞廣彰先生のゼミでは、困難に挑戦する姿勢、仮説思考力が鍛えられ、今の仕事に大変生きています。校歌にもある「進取の精神」ですね。こういう混沌の中で自分のアジェンダを見つけていく作業はとても起業家的だと思います。学費を払うためアルバイトもし、ゼミもバンドも本気でやった。3倍の密度で生きるというモットーの通り、密度の濃い学生生活でした。
(編集部・小田健司=慶應、小柳暁子=早稲田)
※AERA 2019年9月16日号