しかし、残念ながらこの時、特効薬的に泣きやませる方法はありません。できることは、親が抱っこで安心させること。そのあとに、親と友人の関係をみて「この人、大丈夫かも」と赤ちゃんに安心感を与えることで、だんだん泣かなくなります。子どもが人見知りの時期に友人に会う際には、「うちの子、今人見知りが激しいよ」ということをあらかじめ伝えておきましょう。急にグイっと赤ちゃんの領域に入ると泣きますので、友人には最初から赤ちゃんに話しかけないようにしてもらいます。そして、「親と仲良しだよ」という姿を見せ、時間をかけながら近づいてもらいます。
人見知りする赤ちゃんをよくよく観察してみると、「知らない人」と認識したら泣き出し、親にべったりとくっつき、チラリと「知らない人」を見て再び泣き出す、というのを短時間で繰り返します。「泣くなら見なきゃいいのに」と思うかもしれませんが、何度も確認して「ああ!やっぱりこの人知らない!」と再認識しているのだと思います。ぜひ、泣きやませることに必死にならずに、この時期にしか見られない、赤ちゃんの行動をみて楽しめると、親の心に余裕が生まれます。
●人見知りする時期は、外に連れ出さないほうがいい?
人見知りする時期は、なかなか外に出にくく感じる親もいることでしょう。ベビーカーに座っていて「かわいいわね」と知らない人に話しかけられるだけで泣き出すこともあります。周りの人への配慮から、あまり外に連れ出さないほうがいい?と考えるかもしれませんが、親が息抜きするためにも外出しましょう。もちろん、慣れさせることが目的で、多くの人と触れ合ったり、泣くのに抱っこしてもらったりする必要はありません。
●人見知りしないのは問題?
中には、知らない人を見ても泣かない赤ちゃんがいます。「人見知りはしたほうがいいというけれど、うちの子はしない。ニコニコ愛嬌をふりまくこともある」と心配する親もいることでしょう。人見知りをしない赤ちゃんも、きっと知らない人に会った時に「じっと顔を見つめる」ことをしていると思います。じっと見つめるこの行動が「人見知り」の表れ。人見知りは必ず泣くわけではないのです。この時に大切なことは、身近な人と知らない人との区別ができているかどうかです。初めて会う人に対しても、ニコニコ愛嬌をふりまくのは、その子が生まれ持った性格。個性としてとらえましょう。
人見知りは、赤ちゃんによって表れ方が違います。出てくる時期も違いますし、おさまる時期も違います。人見知りは成長過程で必ずあるものととらえ、赤ちゃんとゆっくり過ごしましょう。(文/中田 馨)
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