4、博物館
アメリカには、子ども博物館(Children’s museum)なる学びの場が各地にあります。日本でいう科学センターとかキッザニアのような、科学、社会、アート、その他いろいろな学習要素を子ども向けに展示した博物館です。この博物館でも、夜に子どもを預かってくれるところがあります。ナイトミュージアムよろしく、夜の博物館を子どもだけで見学できるというわけです。5歳以上を対象にして完全な学習目的にしている場所もあれば、3歳くらいから預かってくれるところもあります。ピザ率は、まちまちのようです(残念)。
5、教会
クリスチャンの人口比率52%のシアトルから86%のアラバマ州に引っ越して驚いたのが、教会の充実度でした。英語教室や勉強会、季節のお祭りなど、シアトルでは市が行っていたようなイベントが全部教会主催で開かれます。そして、必ずといっていいほど無料の(寄付が促されることもありますが)託児所が設置されています。我が家はカトリックですが、違う宗派のイベントで託児所を利用しても何も言われません。というか、宗派を問われることはありません。勧誘されることもありません。みんな、社会への貢献という目的で子どもを見てくれています。生後6週くらいから預かってくれるところもあります。
子どもが生まれると、親──特に母親は家に閉じこもりがちになります。授乳やオムツ交換があって気が休まらないし、周りへの迷惑も気になるしで、外出がおっくうになります。出かけたいけど、仕事が忙しい夫や遠方に住んでいる親には頼れない。生活のすべてが子どもを中心に回り、自分という存在がなくなってしまったように感じる。そんなとき、気軽に子ども──特に小さい赤ちゃんを預けて、自分を取り戻せる場所が近所にあったらいいなと思うんです。そして「子どもは親だけが責任をもって見るものだ」という考えも、変わっていけばいいなと感じます。親にだって、自分の時間は必要です。
※AERAオンライン限定記事
◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi