ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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日本ではあんまり褒め言葉に使われませんよね。「ドテカボチャ」とか。舞台に出る前、緊張してる人に「客席に並んでるのはみんなカボチャだと思え」とか。カボチャの実力知ってんのかよ、失礼な!って思いますね。カボチャ権利団体から訴えられたらアウトでしょう。おいしいし、料理にもスイーツにもなって、好きな人は多いはずなのに。やっぱり形ですかね。ゴツゴツしてて、スマートじゃないからかなぁ。
海外だとちょっと様子が違いますよね。アメリカでは秋の実りの象徴というイメージで、収穫祭などでは大きさを競ったり重さを予想したりするイベントが定番です。もちろん、ハロウィーンのジャック・オー・ランタンのイメージも強い。今じゃ日本でも、若い人は真っ先にアレを思い浮かべるのかもしれません。
あとはやっぱり、シンデレラの馬車です。ネズミが馬に、カボチャが馬車に、ということは虐げられていたシンデレラがいた寒々とした場所にさえ、カボチャはあった。それだけ身近で、どこにでもある野菜だったんですね。
※AERA 2019年8月5日号