村上春樹さんの作家活動40周年を祝して、スペシャルライブ「村上JAM」が開催された。昨年8月5日からこれまで6回放送された「村上RADIO」(TOKYO FM系)の特別版だ。デビュー当時ご本人が経営されていたジャズバー「ピーター・キャット」が再現され、多彩なゲストと、抽選で選ばれたファン150人が集まった。
【写真】最後は渡辺貞夫さんらオールキャストによるジャムセッションで最高潮の盛り上がりに!
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このライブの音楽監督を務めたジャズピアニストの大西順子さん(52)が特別に結成した「村上JAMバンド」が「村上RADIO」のオープニングテーマ曲「マディソン・タイム」を演奏すれば、「ピーターキャット」にも出演したことがあるトロンボーンの向井滋春さん(70)と村上さんの間で当時の話題に花が咲く。向井さんが「マスター時代の村上さんは無口だった」と話すと、村上さんは「一生懸命愛想よくやろうと努力していた」と苦笑い。
クラリネット奏者の北村英治さん(90)が登場すると、村上さんは学生時代にジャズ喫茶でアルバイトをしている時、北村さんのレコードをよくかけていたというエピソードを披露。北村さんが今年満90歳だと言うと、そのプレイの瑞々しさに観客から驚嘆の声が上がり、村上さんも「僕も90歳までがんばります」と応じた。
日本のジャズ・レジェンドである渡辺貞夫さん(86)とのトークでは、村上さんは上京してすぐに行った新宿のジャズ・ライブハウス「ピットイン」で最初に観たのが渡辺さんのカルテットだったと話した。
「一番前で聴いていると、貞夫さんがたばこをくわえて火を探していたから、僕がつけてあげた記憶があります」(村上さん)
そんなトークのやりとりから、村上さんの音楽とミュージシャンへのリスぺクトが、会場全体にじわじわ伝染していった。
村上作品の朗読のコーナーでは、サプライズゲストとして俳優の高橋一生さん(38)が登場。村上さんの大ファンだという高橋さんが「夜のくもざる」などを朗読すると、その声を味わおうと、会場は静けさに包まれた。