玉城:「俺はここの“王”だ!」というボンベロの言葉を撮影初日に目の前で聞いて、その演技を見せてもらって、「私はこれから大丈夫かな」「藤原さんと撮影の2カ月半、つぶれずにやっていけるのかな」と感じました。

藤原:入る前のテンションと、入ってからの緊張感。これをどのように持続させていくか、というのが大事だな、と思いながら演じていました。この作品に関しては、「気合入れないと」「真面目に本気でぶつからないとダメだな」と思いながら取り組んでいましたね。

 慣れていない役柄でしたし、方向性もなかなか難しいから、手探りの状態。それは実花さんも同じだったと思いますが、演じながら「この方向で合っているだろうか」と細かく計算していました。とにかく実花さんについて信じてやっていこう、と。

玉城:私は演じ方のパターンがそう多くないかな、と思っていたので表情など細かな点に気を配るようにしていました。撮影に入る前は、ほかの映画を観ていても「この作品でこの女の人はどういう立ち位置なのか」というところに注目していました。カナコの強さのようなものは、演技を重ねることで作られていったと思います。日を重ねるごとに、ただただ「その日のベストで頑張ろう」という気持ちで過ごすようになりました。

藤原:楽しそうにやっていたよね。

玉城:そう、楽しかったです。「つらい」という気持ちは全然なくて。

藤原:すごいな、と思ったのは、僕は「今日はつらい」「キツい」とつい言ってしまうこともあるけれど、ティナはケロッとしていたもんね。「今日も頑張りましょう」って。「昼は何食べたの? いっぱい食べた?」と聞くと、「バナナです」って。「何本食べたの?」って聞くと、「半分です」って。

玉城:あはは。カナコが着ていたウェートレスの衣装、結構苦しいんですよ。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2019年7月8日号より抜粋