中高年になってたまりやすい内臓脂肪だが、実は胎児期から3歳くらいまでの環境の影響を強く受けることがわかってきた。
【生後すぐ~乳幼児期のリスクと気をつけた方がよい生活習慣はこちら】
小児科専門医で獨協医科大学特任教授の有阪治医師によると、体脂肪が過剰に蓄積した4千グラム以上で生まれた赤ちゃんと共に、2500グラム未満の低出生体重児も将来、内臓脂肪の蓄積によって起こるメタボリックシンドロームを原因とする疾患を発症するリスクが高い。
日本では低出生体重児が増えている。1980年は出生児の約5%だったが、2017年は9.4%とほぼ倍増。原因の一つが女性の体形の変化だ。妊娠前にやせていると、赤ちゃんが低体重になりやすいとの報告があるが、国民健康・栄養調査によると、BMI(体格指数)が18.5未満のやせた女性は、80年は20代が13%、30代が8%だったが、17年は22%、13%とそれぞれ倍近くになった。
「妊娠前や妊娠中に体形を気にして十分に栄養を取らないと、子宮内で飢餓状態になった赤ちゃんが省エネ体質になり、脂肪がつきやすくなるのです」(有阪医師)
なかでも妊娠週数相当の体格より体重が少なく生まれた赤ちゃんは、適正体重に追いつこうと体重の急速な増加が起こることがある。その際に内臓脂肪がたまってインスリンが効きにくくなり、1歳時の血中インスリン濃度が適正体重で生まれた子と比べて高くなることが報告されているという。とはいえ、妊娠・出産はコントロールできないことも多い。嘆くことなかれ。幼児期の育て方で肥満を防ぎ、将来のリスクも下げることはできる。注目すべきはBMIだ。
一般的に子どものBMIは1歳頃まで増加し、歩き始めて運動量が増えた頃から下がって5歳頃に再び上がるが、有阪医師の研究で、3歳前に再上昇が始まると将来肥満になる可能性が高いことがわかった。1歳半健診と3歳児健診の際のBMIを比べ、上がっていたら要注意だ。
「3歳前から生活習慣に気をつけることが、将来の健康につながります」(同)
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2019年7月8日号