机の上にバサッと広げられた手紙の数々。両親や祖父母から子どもたちへの手紙には、自分が小学生時代にどんな遊びをしていたかがつづられていました。
中学年クラス(小学3・4年生)のメンバーは蛍光マーカー片手にそれら一枚一枚を食い入るように読み進めます。
メンコ、チャンバラ、缶けり、あやとり、おはじき、お手玉……。おじいさんやおばあさんが幼い頃に夢中になって楽しんだ伝統的な遊びのことを、彼らは「昔遊び」として認識していました。実際にやったことはなくても、どこかで見たり聞いたりして知っているものが多いようです。
ただ、手紙に登場する遊びの中には、名前だけ聞いても彼らには全く見当がつかないものもありました。
「文さん、『釘打ち』って知ってる?」
「あっ、僕のおじいちゃんも釘を使った遊びを書いてた!」
どちらのおじいさまもその具体的な遊び方をわざわざイラスト付きで丁寧に解説してくださっていました。
勝負のポイントについても触れられており、今でもルールを鮮明に覚えていらっしゃる様子がうかがえます。
祖父母からの手紙には自然遊びのエピソードもたくさん紹介されていました。夏の定番はやはり川遊びや海遊びのようです。泳いだり、魚を捕まえたり、捕まえた魚を焼いて食べたり。
水着がないので、男の子も女の子もパンツ一枚で泳いでいたという話が飛び出すと、「ほんまに!?」と思わず驚きの声が上がりました。
春や秋は自然の恵みを探しに山へ入ることがあったようです。春はわらびやぜんまいやふき、秋は栗やきのこなどがお目当てのようです。
「グミ? 桑の実? あけび? 全然聞いたことないなあ。どんな味なんやろ……」
食材だけでなくおやつも自然調達していたという話は現代っ子である彼らの興味関心を強くひきつけます。
このクラス唯一の女の子のおばあさまは「こんな遊びをしたということもないけれど、ただ自然の中で生きていたんだなと思います」という一文で手紙を締めくくっていらっしゃいました。その言葉には私もいろいろ感じ入るところがありました。