衆参5補欠選挙が、4月11日に告示される。昨年7月、安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、空席となった衆院・山口4区に、前参院議員の有田芳生氏(71)が立憲民主党から立候補することを表明した。当初は、安倍元首相の「弔い選挙」で“無風”と見られていたが、有田氏の立候補表明で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が争点になりそうだ。
安倍元首相の銃撃事件以降、旧統一教会の霊感商法や献金問題がクローズアップされたのを受け、昨年末の臨時国会で不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)が成立した。世論の盛り上がりも一時に比べ、落ち着きを見せてきたなかでの補欠選挙。
自民党は山口4区で、安倍元首相の後援会が推す前下関市議の吉田真次氏(38)を公認すると2月10日に発表した。吉田氏は、安倍元首相が使っていた場所で事務所開きをし、「安倍元総理の思いをしっかり引き継いでいく」と安倍元首相の後継であることを強く訴えた。安倍元首相の妻・昭恵さんも知名度を生かし、吉田氏とミニ集会にも参加。「主人の遺志を継いでくれる吉田氏を応援してほしい」と訴えているようだ。
吉田氏の公認が発表された以降も、野党は山口4区の公認候補がなかなか決まらない状況が続き、当初は“無風”との見方が強かったが、有田氏の立候補表明で局面が変わった。
自民党としては、沈静下していた旧統一教会の問題が蒸し返され、争点になるのは避けたい算段だったようだが、有田氏は出馬表明の会見で「旧統一教会と安倍元首相の長期政権の審判が争点」などと強調した。
自民党の山口県連のある幹部は、「立憲民主党は大変な候補者を出してきた、というのが正直なところ」と語った。
有田氏は、フリーのジャーナリストとして約40年も前から旧統一教会問題を追及し、昨年7月まで参院議員を2期務めた。
立憲民主党の大串博志・選対委員長は、
「昨年夏に参院選が終わり、しばらく国政選挙はないと見られていたなかで、補選が衆参で計五つもある。野党としてなんとか一矢報いたい。とりわけ安倍元首相の地元、山口4区は保守王国ということもあり、候補者を探したけど手を挙げる人がいない。そうした状況のなか、1月末に私が直接有田氏に『旧統一教会問題を訴えるには最高の場ではないか』と出馬をお願いし、決断していただいた」
と党本部主導の擁立だったと明かした。