沖縄県宜野湾市内のわき水に設置された看板。同市は5月下旬以降、市内4カ所に看板を設置したが、有機フッ素化合物との因果関係を認めていない/6月撮影(写真:河村雅美さん提供)
沖縄県宜野湾市内のわき水に設置された看板。同市は5月下旬以降、市内4カ所に看板を設置したが、有機フッ素化合物との因果関係を認めていない/6月撮影(写真:河村雅美さん提供)
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 沖縄の米軍基地周辺で、有害な有機フッ素化合物が高濃度で検出されている。原因とみられる泡消火剤は、東京の横田基地でも大量漏出したという情報がある。

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「この湧き水は飲めません」

 こんな看板が4月以降、沖縄県内の米軍基地周辺7カ所のわき水に相次いで設置された。町内3カ所に設置した嘉手納町の担当者はこう吐露する。

「住民の不安が高まる中、設置せざるを得ませんでした」

 なぜこんな事態に陥ったのか。

 有機フッ素化合物のペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)による水質汚染が、米軍の嘉手納基地(沖縄市、嘉手納町、北谷町)や普天間飛行場(宜野湾市)周辺の河川や地下水、わき水で集中的に検出されているのだ。これらの化合物は、自然界で分解されず生物の体内で蓄積されることから「Forever Chemical」(永遠に残る化学物質)と呼ばれ、発がん性など人体への悪影響が指摘されている。

 米国環境保護局は2016年、PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり70ナノグラム(ナノは10億分の1)とする「生涯健康勧告値」を設定。基準内の水を1日2リットル、70年間飲み続けても健康に影響がないとした。胎児や母乳を与えられている乳児を健康上の有害影響から保護する観点から設定されている。

 だが、沖縄県が4月に発表した数値は桁違いだ。嘉手納基地内を通過する比謝川周辺のわき水では、19年1月の調査で5地点が70ナノグラムを超え、最大値は1リットルあたり2100ナノグラムに達した。普天間飛行場周辺の宜野湾市内のわき水や地下水では、18年9月の調査で6地点、19年1月の調査で7地点が基準超えとなり、最大2千ナノグラムを検出した。

 県が13年度以降行っている水質調査でも同様の高い値を検出していたが、汚染リスクに関する情報が不明確なこともあり、大きな関心を集めなかった。15年度には、7市町村に水道水を供給している北谷浄水場(北谷町)で最大120ナノグラムを検出。県は緊急対策として北谷浄水場に活性炭フィルターを設置した。18年度の平均値は29ナノグラムに収まっており、「水道水の安全性は担保されている」(県企業局)としている。

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