原因の一つと考えられるのが、米軍が基地内で使用している泡消火剤だ。主な汚染源は基地内と判断した県は16年1月、防衛省を通じ、米軍に立ち入り調査を要求。しかし米軍は3年半近くたった今も立ち入り調査に応じていない。基地の管理権は米側にあると定めた日米地位協定が壁になっているのだ。
膠着状態に業を煮やし、沖縄県内では母親たちのグループなどが結成され、対策強化を求めている。沖縄の環境調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表は「汚染源の特定と対策が早急に必要」と訴える。
「米軍が火災時や訓練で使う泡消火剤が汚染源であることは米国の基地周辺でも確認されています。米軍は16年以降、代替品の導入を進めていますが、それでは問題を解決できません」
長年にわたって蓄積された基地内の汚染が、地下水を通って周辺の川やわき水に染み出ていることが予想されるため、基地内の汚染土壌の除去などの措置が不可欠という。
問題は、沖縄以外の米軍基地周辺にも広がりそうだ。「沖縄タイムス」が米国情報公開制度に基づき入手した米軍の記録をもとに報じた記事によると、東京の横田基地で10~17年に漏出したPFOSを含む泡消火剤の量が、少なくとも計3161リットルに上るという。河村さんはこう警告する。
「米国ではPFOSなどによる飲料水汚染が基地などに起因するとの認識が定着しています。沖縄以外の在日米軍基地周辺でも同様の汚染リスクは潜在しているはずですが、命や健康にかかわる問題だという深刻さが伝わっていないのでは」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2019年7月1日号