浅田美代子さん45年ぶりの主演となる「エリカ38」は、2017年に出資法違反の罪で逮捕された実在の人物をモチーフにした映画。「浅田美代子にこういう役をやらせたら、おもしろいと思うのよ」昨年9月に亡くなった樹木希林さんの言葉が、すべてのはじまりだった。
* * *
45年ぶりの主演映画となる「エリカ38」は、2017年に出資法違反の罪で逮捕された実在の人物をモチーフにしている。62歳の実年齢を38歳と偽り、31歳のタイ人青年を恋人にしていた女は、多くの人に強い印象を与えた。浅田美代子さん(63)は、そのニュースを18年9月に亡くなった樹木希林さん(享年75)と見ていたという。
「『美代ちゃんはこういう女を演じられるわよ』と言われたんです。『いや、私にはこういう話はこないでしょ~』と返したんですが、水面下で動いてくれていた」
樹木さんが自ら企画を持ち込み、映画化が実現した。
「私の代表作となる映画をと思ってくれたんだと思います。この映画には女の中に潜む“毒”が描かれていますけど、私が希林さんと仲が良かったのも、お互いの中にある毒がわかっていたからだと思うんです」
映画はフィクションだが、実際の事件も投影されている。
「主人公は特別なわけでなく、誰もが一歩間違ったら、こうした道に足を踏み入れてしまう。そういう思いで演じました。難しかったのはやっぱりベッドシーンですね。さすがに62歳ですし(笑)、濡れ場を演じたことがなかったんですよ。でもこの映画に出てから吹っ切れた部分もあります。キレイに映されたい、という思いはなくなって、すっぴんで映画に出ることも抵抗がなくなりました」
樹木さんも母親役で登場する。
「最初は出たがらなかったんですけど、結局は『私が出ると映画の格が上がるのよねぇ~』(笑)って。二人で童謡『赤とんぼ』を歌うシーンは、本当は希林さんだけが歌うはずだったんです。でも聞いていたら、本番で思わず一緒に歌ってしまった」