それはそれでいい。だが、それにしても、なぜ、このことがひたすら懸念材料として取り扱われるのか。円高が進むことのどこにどれほどの問題があるのか。そもそも、円高とは何か。昨日の相場が100円だったなら、今日の90円は円高だ。だが、昨日の相場が80円だったのであれば、今日の90円は大幅円安水準である。

「円高=脅威」という条件反射は、一体いつまで続くのだろう。日本は対外債権大国だ。その日本の通貨の価値が、巨大な借金国であるアメリカの通貨に比べて高い。これは当たり前の関係だ。経済的自然現象である。この自然体を恐れてばかりいたのでは、日本経済に新境地無しだ。次にお会いする時、円はどこに行っているでしょうね。

AERA 2019年5月13日号

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