子どもたちの観察眼の鋭さと視点のユニークさには驚かされることもしばしばです。普段何げなく歩いていると見過ごしてしまうような小さな発見を積み重ねていきます。
フィールドワークを終えると、教室に戻って、自分たちの発見を共有する時間です。
「トンビとハトが混ざって飛んでたのが不思議やわ。ハトはタカとトンビが嫌いなはずなのになあ」
「秘密の洞窟があったで!ジメジメして、こうもりや魔女が住んでそう……」
「たんぽぽの中でアリが蜜を吸ってた」
「飛び石と飛び石の間で水の勢いが強いところを見つけたよ。『地獄ゾーン』と呼ぼう!」
「茂みに自転車が捨てられているのは何でだろう?」
「水がたくさん出てくる場所があるねんけど、あれって湧き水かな?」
どこで、どんなものを見つけたのか、地図にマッピングしながら、子どもたちの発言を模造紙に書き留めるのが私の役目です。
何度も探検に出かけることで、教室の壁にはたくさんの発見で埋め尽くされた模造紙が一枚、また一枚と増えていきます。
プロジェクトが後半を迎えると、これまで発見したものの中から各自調べたいことを一つに絞ります。
鴨川デルタ上空を飛び交うトンビ
河原に落ちているガラスの破片(シーグラス)
なぜか水が出ない手押しポンプ……
対象を注意深く観察することで次々に生まれてくる新たな発見や疑問。子どもたちは時間の許す限り、楽しみながら追実験や再調査に取り組んでいます。
プロジェクト発表会では、それぞれの探究の成果を発表してもらいますが、いずれも自分の目で確かめに行きたくなるものばかりですよ。
何も特別な場所に行かなくても、実は身近なところに発見の種がたくさん転がっていることを子どもたちに実感してもらいたい。そんな思いを持って、探究堂ではこのプロジェクトを実施しています。
(文/山田洋文)
※AERAオンライン限定記事