ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
写真:gettyimages
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 今回のテーマはサプライズと経済です。時を同じくして、とんでもないサプライズが起きました。一つはタイガー・ウッズのマスターズ復活劇。もう一つはフランス・ノートルダム大聖堂の火災です。

 タイガーの復活には世界中が感動したのではないでしょうか。敵なしだったタイガーがどん底に落ちるのにそれほど時間はかかりませんでした。一時期は廃人同然と言われ、ゴルフをすることすらおぼつかなかったタイガーが、十数年の時を経て世界最高峰のマスターズのチャンピオンに返り咲いたのです。一方、ノートルダム大聖堂の火災も世界中にショックを与えたサプライズと言えるでしょう。

 経済や市場では「サプライズ」が多々起きるわけですが、そこにはどんな関係が潜んでいるでしょうか。

 経済学というのは元々の前提条件がかなり怪しく、とても「科学」と呼べる代物ではない、とよく言われます。「ロビンソン・クルーソーが住んだような全く人が出入りをしない状況を設定する」とか、「人は必ず何かを交換する」=バナナを10本持っている人は生産力が上がって100本になれば必ず他のものに交換する……とか、およそ非現実な前提条件から物事がスタートしており、現実との整合性がないのは明らか。この理論経済学からの分析には全く意味がありません。

 現実的に分析を進めると、サプライズには2種類あります。一つは「いつ来るか」はサプライズだけど、あ、やっぱりなー、と思えるもの。自然界では地震、経済なら不況などがこれにあたります。

 一方、絶対に起きないはずのことが起きるサプライズもあります。鶏が空を飛ぶとか、経済でいうと、突然アメリカドルが価値を失ったらこれはもうビッグサプライズです。ただし、こちらのタイプは瞬間的に起きることは少なく、何かが蓄積した結果が大サプライズだった、ということがほとんどだと思います。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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