スーパーに並ぶ大量の油から、体にいいものを選びたい。でもラベルに書いてあるのはどれもこれも バラ色のうたい文句ばかり……。大丈夫。このランキングを見れば、迷う必要は無い。
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危険な油は避けたいが、油と無縁の食生活を送ることは難しい。調理油からドレッシング、パンに塗るバターまで食事に油は欠かせない。厚生労働省のウェブサイトにある「健康用語辞典」によれば、油は人間が生きていくうえで必要な三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の一つだ。
しかしどの油を選べばいいのか。スーパーには何十種類もの油製品が並び、パッケージには「体に脂肪がつきにくい」「オレイン酸たっぷり」「コレステロールを下げる(またはコレステロールゼロ)」といったキャッチコピーが躍り、迷うばかりだ。
そこで管理栄養士の太田千恵さん協力のもと、文部科学省の最新データを参考にまとめたのが「体にいい油ランキング」だ。
まず、オリーブオイルでも菜種油でもバターでも、すべての油は、成分としては「脂肪酸」という栄養素の一つに分類されることを理解しよう。脂肪酸とはビタミンやミネラル、食物繊維と同じ栄養成分の一つ。
口に入る油には植物性と動物性があり、植物性はオリーブオイル、菜種(キャノーラ)油、紅花(サフラワー)油など。動物性はバター(溶かしたものがギー)、ラードなどが代表的存在だが、これらはすべて「脂肪酸」という、栄養素の大きなくくりに入ることになる。
「ビタミン」がビタミンCやB1、「ミネラル」がカルシウムやカリウムなどに細分化されるのと同じく、「脂肪酸」も飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに分かれる。この二つのうち、不飽和脂肪酸はオレイン酸(オメガ9)、リノール酸(オメガ6)、α‐リノレン酸(オメガ3)に分かれる(チャート参照)。ちなみにオメガ3、6、9は分子レベルでの水素や炭素などの結合の違いなので、単に“グループ分け”のような意味として覚えておけばよい。
ビタミンCが風邪や肌のシミを予防する、ビタミンB1が疲労回復の働きをする、といったように、オレイン酸やリノール酸にもそれぞれ特徴や働きがある。ただし、ミカンはビタミンCだけ、豚肉はビタミンB1だけでできているのではないのと同じく、オレイン酸やリノール酸という単一の栄養素だけで成り立っている油はこの世に存在しない。「体にいい油ランキング」では、これらの油に含まれる成分を一覧にしている。
それでは、ランキングの解説をしていこう。
体にいい油の圧倒的なトップ2はアマニ油とえごま油だ。豊富に含まれたα‐リノレン酸の作用が突出している。