

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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厳しい寒さは峠を越し、ようやく春めいてきました。「春眠暁を覚えず」という故事もありますが、春の陽気につられて、ついウトウトしてしまう日もありますよね。
私は昔から、睡眠に関しての悩みはなく、いつでもどこでも寝られます。出張の新幹線では5分前に乗車して、発車する前には寝ています。飛行機だと離陸する前に寝てしまい、着陸するまで気づかないことも。
子どものころから大みそかも日付が変わるまで起きていたことはありません。紅白歌合戦もほとんど見ずに、午後9時くらいには寝てしまっていました。
今でも普段はなるべく早くベッドに入り、午前4時半くらいに起きています。ずっと集中して仕事をすれば、夕方ぐらいにはどうしても疲れが出て、思考力も落ちる。夜は会食などでお酒が入ることも多いため、重要な仕事は夕方までに終わらせたい、と考えています。
これまでの経験から、夜の仕事は判断が情緒的になりがちで、翌朝、冷静にじっくり考えた方がうまくいきます。その分、朝は早めに起きて、出勤前の約2時間は考える時間に充てたい。空気が澄んで、頭もすっきりしている朝の方が物事をニュートラルに考えられるので、ぶれない判断ができると思います。
質の高い睡眠をとるには、家に帰ってから仕事のことであまり悩まないことが大事です。「帰宅後には、お酒も入っているし、仕事のことはあれこれ考えない」くらいの開き直りが必要だと思います。
また、ちょっとの時間でも運動することを意識すると寝つきがよくなります。私は30分くらい時間が空けば、プールで1キロくらいバーッと泳いで次の現場に行くこともある。通勤や帰宅時に、1駅余分に歩くだけでもだいぶ違うと思います。
健全な精神を保ち、健康な肉体を維持することが正しい判断を導きます。そのためには、良質な睡眠を確保することが不可欠なのです。
※AERA 2019年3月25日号